開発環境のセットアップ
このモジュールで学ぶこと
- VSCodeのインストールと基本的な使い方
- Claude Codeの導入と操作方法
- ターミナル(コマンドライン)の基礎
- Node.jsとnpmの理解
- Gitの基本概念
- GitHubアカウントの作成
学習目標
このモジュールを終えると、以下のことができるようになります:
- VSCodeを起動し、基本的な操作ができる
- ターミナルを開いて、簡単なコマンドを実行できる
- Claude Codeを使って、AIと対話しながら作業できる
- GitとGitHubの違いを理解し、アカウントを持っている
- 開発に必要なツールがすべて揃っている
目次
- セクション1: VSCodeのインストール
- セクション2: ターミナルの基礎
- セクション3: Node.jsとnpmのインストール
- セクション4: Gitのインストール
- セクション5: GitHubアカウントの作成
- セクション6: Claude Codeのインストール
- セクション7: 開発の基本的な流れを理解する
- まとめ
- 参考資料
- よくある質問
事前準備
必要なもの
- パソコン(Windows/Mac/Linux)
- 安定したインターネット接続
- メールアドレス(GitHubアカウント作成用)
推奨スペック
- メモリ: 8GB以上
- ストレージ: 10GB以上の空き容量
- OS: Windows 10以降 / macOS 10.15以降 / Ubuntu 20.04以降
セクション1: VSCodeのインストール
VSCode(Visual Studio Code)とは?
VSCodeは、Microsoftが開発した無料のコードエディタです。世界中の開発者に最も使われているツールの一つで、以下の特徴があります:
- 無料でオープンソース
- 拡張機能が豊富(プラグインで機能を追加できる)
- 軽量で高速
- 多言語対応(プログラミング言語だけでなく、UI言語も日本語に対応)
インストール手順
Windowsの場合
-
公式サイトにアクセス
-
ダウンロード
- 「Download for Windows」ボタンをクリック
- インストーラー(VSCodeUserSetup-x64-x.xx.x.exe)がダウンロードされる
-
インストール実行
- ダウンロードしたファイルをダブルクリック
- 「同意する」をチェックして「次へ」
- インストール先はデフォルトのままでOK
- 重要: 以下のオプションにチェックを入れる
- ☑ デスクトップ上にアイコンを作成する
- ☑ PATHへの追加(再起動後に使用可能)
- ☑ Code で開くアクションをエクスプローラーのコンテキストメニューに追加する
- 「インストール」をクリック
-
起動確認
- インストール完了後、「Visual Studio Codeを実行する」にチェックを入れて「完了」
- VSCodeが起動すればOK
Macの場合
-
公式サイトにアクセス
-
ダウンロード
- 「Download for Mac」ボタンをクリック
- ZIPファイルがダウンロードされる
-
インストール
- ダウンロードしたZIPファイルを解凍
- 「Visual Studio Code.app」を「アプリケーション」フォルダにドラッグ&ドロップ
-
起動確認
- アプリケーションフォルダから「Visual Studio Code」をダブルクリック
- 初回起動時に「開いてもよろしいですか?」と聞かれたら「開く」をクリック
日本語化(任意だが推奨)
- VSCodeを起動
- 左サイドバーの拡張機能アイコン(四角が4つ並んだアイコン)をクリック
- 検索ボックスに「Japanese Language Pack」と入力
- 「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」をインストール
- VSCodeを再起動
- UIが日本語になっていることを確認
チェックポイント
- VSCodeが起動できる
- UIが日本語になっている(日本語化した場合)
- 左サイドバーのアイコンをクリックして、各パネルが開閉できる
セクション2: ターミナルの基礎
ターミナル(コマンドライン)とは?
ターミナルは、キーボードでコマンド(命令)を入力してコンピュータを操作するツールです。
通常のアプリケーションはマウスでクリックして操作しますが、プログラミングの世界では、ターミナルにコマンドを入力して操作することが多いです。
なぜターミナルを使うのか?
- マウス操作より高速に作業できる
- 複雑な操作を自動化できる
- 開発ツールの多くがターミナルで動く
最初は難しく感じるかもしれませんが、よく使うコマンドは限られているので、すぐに慣れます。
VSCodeでターミナルを開く
- VSCodeを起動
- 上部メニューから 「ターミナル」→「新しいターミナル」 をクリック
- または、ショートカット:
Ctrl + Shift + @(Windows) /Cmd + Shift + @(Mac)
- または、ショートカット:
- 画面下部にターミナルパネルが表示される
基本的なコマンドを試してみよう
ターミナルが開いたら、以下のコマンドを入力してEnterキーを押してみましょう。
1. 現在のディレクトリ(フォルダ)を確認
# Windowsの場合
cd
# Mac/Linuxの場合
pwd
結果: 現在いる場所(ディレクトリのパス)が表示される
2. ディレクトリの中身を表示
# Windowsの場合
dir
# Mac/Linuxの場合
ls
結果: 現在のディレクトリにあるファイルやフォルダの一覧が表示される
3. Cドライブに移動(Windowsのみ)
cd C:/
結果: プロンプトが C:\ に変わる
4. ホームディレクトリに移動
cd ~
結果: ユーザーのホームディレクトリに移動する
よく使うコマンド一覧
| コマンド | 説明 | 例 |
|---|---|---|
cd [ディレクトリ名] | ディレクトリ移動 | cd C:/ |
cd .. | 一つ上のディレクトリに移動 | cd .. |
mkdir [名前] | 新しいディレクトリ作成 | mkdir my-project |
dir (Win) / ls (Mac) | ファイル一覧表示 | ls |
pwd (Mac) / cd (Win) | 現在地を表示 | pwd |
clear (Mac) / cls (Win) | 画面をクリア | clear |
チェックポイント
- VSCodeでターミナルを開ける
-
cdやlsコマンドを実行できる - 現在のディレクトリがどこか確認できる
セクション3: Node.jsとnpmのインストール
Node.jsとは?
Node.jsは、JavaScriptをブラウザ外(パソコン上)で実行するための環境です。
**npm(Node Package Manager)**は、Node.jsのパッケージ(便利なツールやライブラリ)を管理するツールです。Node.jsをインストールすると、npmも一緒にインストールされます。
なぜ必要?
Next.js(これから使うフレームワーク)を動かすために、Node.jsが必要です。
インストール手順
1. 公式サイトにアクセス
2. LTS版をダウンロード
- LTS(Long Term Support)版を選択してください
- 「推奨版」と表示されているボタンをクリック
- ❌ Current版は選ばない(最新機能が含まれるが不安定な場合がある)
3. インストーラーを実行
Windowsの場合:
- ダウンロードした
.msiファイルをダブルクリック - 全てデフォルト設定でOK(「Next」を何回かクリック)
- 「Automatically install the necessary tools」にはチェックを入れなくてOK
- インストール完了
Macの場合:
- ダウンロードした
.pkgファイルをダブルクリック - 指示に従ってインストール
- パスワード入力を求められたら、Macのログインパスワードを入力
4. インストール確認
ターミナルを再起動してから、以下のコマンドを実行:
node -v
期待される結果: v20.x.xのようなバージョン番号が表示される
npm -v
期待される結果: 10.x.xのようなバージョン番号が表示される
トラブルシューティング
「nodeは内部コマンドまたは外部コマンドとして認識されていません」と表示される場合
- ターミナルを一度閉じて、VSCodeごと再起動してください
- それでも解決しない場合は、パソコンを再起動してください
- 再起動後も表示されない場合は、Node.jsを再インストールしてください
チェックポイント
-
node -vでバージョンが表示される -
npm -vでバージョンが表示される
セクション4: Gitのインストール
Gitとは?
Gitは、バージョン管理システムです。
バージョン管理とは?
- コードの変更履歴を記録する仕組み
- 「いつ」「誰が」「何を」変更したかを追跡できる
- 過去の状態に戻すことができる
- 複数人で同じプロジェクトを開発する際に必須
例え話: ゲームのセーブポイントのようなもの。定期的にセーブしておけば、失敗してもやり直せます。
インストール手順
Windowsの場合
-
公式サイトにアクセス
-
ダウンロード
- 「Download for Windows」をクリック
-
インストール
- ダウンロードしたファイルを実行
- 基本的に全てデフォルト設定でOK
- 重要な設定:
- エディタ: 「Use Visual Studio Code as Git's default editor」を選択
- PATH環境変数: 「Git from the command line and also from 3rd-party software」を選択
- その他はデフォルトのまま「Next」
Macの場合
Macには最初からGitがインストールされている場合が多いです。
-
インストール確認
ターミナルで以下を実行:
git --version -
インストールされていない場合
上記コマンドを実行すると、自動的にインストールプロンプトが表示されます。指示に従ってインストールしてください。
インストール確認
ターミナルを再起動してから:
git --version
期待される結果: git version 2.x.xのようなバージョン番号が表示される
Gitの初期設定
以下のコマンドで、ユーザー名とメールアドレスを設定します(後でGitHubで使う情報):
git config --global user.name "あなたの名前"
git config --global user.email "your.email@example.com"
例:
git config --global user.name "Taro Yamada"
git config --global user.email "taro.yamada@example.com"
チェックポイント
-
git --versionでバージョンが表示される - ユーザー名とメールアドレスを設定した
セクション5: GitHubアカウントの作成
GitHubとは?
GitHubは、Gitで管理しているプロジェクトをオンラインで保存・共有できるサービスです。
GitとGitHubの違い:
- Git: パソコン上でバージョン管理をするツール(ローカル)
- GitHub: Gitで管理しているプロジェクトをクラウドに保存するサービス(リモート)
例え話:
- Git = ゲームのセーブ機能
- GitHub = クラウドセーブ(オンラインにバックアップ)
アカウント作成手順
-
GitHubにアクセス
-
Sign upをクリック
-
必要情報を入力
- Email: メールアドレスを入力
- Password: パスワードを設定(8文字以上、数字・記号を含む)
- Username: ユーザー名を設定
- 半角英数字とハイフン(-)のみ使用可能
- 例:
taro-yamada,portfolio-creator-2024
- Email preferences: メール配信の設定(チェックを外してOK)
-
パズルを解く
- ロボットではないことを証明するパズルが表示される
-
メール認証
- 登録したメールアドレスに認証コードが届く
- コードを入力して認証
-
プラン選択
- Freeを選択(無料プランで十分)
-
完了
- アカウント作成完了
チェックポイント
- GitHubアカウントを作成した
- ログインできることを確認した
- ユーザー名を覚えている(後で使用)
セクション6: Claude Codeのインストール
Claude Codeとは?
Claude Codeは、AIアシスタントClaude(クロード)をVSCodeで使えるようにする拡張機能です。
できること:
- 自然な日本語で指示を出すだけで、コードを書いてくれる
- エラーが出たら、原因と解決策を提示してくれる
- コードの説明や改善案を教えてくれる
従来のプログラミングとの違い:
- 従来: 構文を暗記して、自分で全てコードを書く
- Claude Code: 「こんな機能がほしい」と伝えれば、AIが実装してくれる
インストール手順
-
VSCodeを起動
-
拡張機能パネルを開く
- 左サイドバーの拡張機能アイコン(四角が4つのアイコン)をクリック
- または、ショートカット:
Ctrl+Shift+X(Windows) /Cmd+Shift+X(Mac)
-
Claude Codeを検索
- 検索ボックスに「Claude Code」と入力
- 「Claude Code」(Anthropic製)を見つける
-
インストール
- 「Install」ボタンをクリック
-
VSCodeを再起動
認証方法の選択
Claude Codeは2つの認証方法があります:
方法1: ログイン認証(推奨)
メリット:
- APIキー管理不要
- 使いやすい
- MAXプラン(有料プラン)推奨
- より高速
- 長時間の作業に対応
- 優先サポート
手順:
- Claude Codeパネルを開く
- 「Sign in with Claude.ai」をクリック
- ブラウザでAnthropicアカウントにログイン
- 認証完了
プラン:
- 無料プラン: 制限あり
- MAXプラン推奨: 月額20ドル(本格的な開発に最適)
方法2: APIキー(上級者向け)
APIを使いたい場合のみ。詳細はAnthropic公式サイト参照。
Claude Codeの起動方法
方法1: アイコンから起動
- 左サイドバーの「Claude」アイコンをクリック
方法2: ターミナルから起動(推奨)
ターミナルで以下のコマンドを実行:
claude
メリット:
- キーボードだけで操作できる
- より効率的
- ターミナルとの相性が良い
WSL環境の推奨:
Windowsユーザーは**WSL(Windows Subsystem for Linux)**の使用を推奨します。
WSLのメリット:
- IDEとの相性バツグン
- Linuxコマンドがそのまま使える
- 開発環境がクリーン
WSLのセットアップ:
# PowerShellで実行
wsl --install
再起動後、Ubuntuがインストールされます。
Claude Codeの基本的な使い方
-
チャット画面
- Claudeパネルまたはターミナルで
claudeコマンド - 下部のテキストボックスに日本語で指示を入力
- Enterで送信
- Claudeパネルまたはターミナルで
-
試しに話しかけてみる
こんにちは。あなたは何ができますか?Claudeが応答すればOKです。
チェックポイント
- Claude Code拡張機能がインストールされている
- ログイン認証が完了している(またはAPIキー設定済み)
- Claudeと会話ができる
-
claudeコマンドでターミナルから起動できる(オプション) - WSL環境をセットアップした(Windowsユーザー・オプション)
セクション7: 開発の基本的な流れを理解する
プロジェクトとは?
プロジェクトとは、1つのWebサイトやアプリを作るために必要なファイル一式が入ったフォルダです。
例えば、ポートフォリオサイトを作る場合:
portfolio-site/ # プロジェクトフォルダ
├── src/ # ソースコード
├── public/ # 画像などの素材
├── package.json # プロジェクト設定ファイル
└── ...
開発の基本的な流れ
-
プロジェクトを作る (次のモジュールで実施)
npx create-next-app@latest my-portfolio -
VSCodeでプロジェクトを開く
方法1: エクスプローラーから開く(Windows)
- エクスプローラーでプロジェクトフォルダを開く
- フォルダ内の空白部分を右クリック
- 「Code で開く」を選択
※ この項目が表示されない場合:
- VSCodeインストール時に「PATHへの追加」にチェックを入れ忘れた可能性
- 再インストールするか、方法2を使用
方法2: VSCodeから開く
- VSCodeを起動
- File → Open Folder → プロジェクトフォルダを選択
方法3: ターミナルから開く(推奨)
プロジェクトフォルダに移動してから:
code ..の意味:- 現在のディレクトリ(カレントディレクトリ)を表す
code .= 「VSCodeで現在のフォルダを開く」
使用例:
cd ~/projects/my-portfolio code .この方法が最も効率的です。
-
開発サーバーを起動
npm run dev- ブラウザで
http://localhost:3000を開くと、作成中のサイトが見れる
- ブラウザで
-
コードを編集
- ファイルを変更すると、ブラウザが自動的に更新される(ホットリロード)
-
保存・公開
- Git でバージョン管理
- GitHub にアップロード
- Vercel でデプロイ(公開)
チェックポイント
- プロジェクトの概念を理解した
- 開発の基本的な流れがイメージできる
まとめ
このモジュールで学んだこと
- VSCodeのインストールと基本操作
- ターミナルでコマンドを実行する方法
- Node.js / npm のインストール
- Gitのインストールと初期設定
- GitHubアカウントの作成
- Claude Codeのセットアップ
次のステップ
環境構築ができたので、次は実際にNext.jsプロジェクトを作ります。
モジュール2: Next.jsプロジェクトの初期設定 に進んでください。
参考資料
よくある質問
Q: Claude CodeはMAXプランが必要ですか? A: 無料プランでも使えますが、本格的な開発にはMAXプラン(月額20ドル)を推奨します。制限なく、快適に開発できます。
Q: APIキーとログイン認証、どちらがいいですか? A: 初心者はログイン認証が簡単です。APIキーは従量課金なので、上級者向けです。
Q: VSCodeの代わりに他のエディタは使えますか? A: 使えますが、この講座ではVSCodeを前提としています。
Q: Windowsでcdコマンドがうまく動きません
A: パスに日本語やスペースが含まれていませんか?英語のパスを使用してください。
Q: code .コマンドが動きません
A: VSCodeのPATHが設定されていない可能性があります。VSCodeを再インストールするか、インストール時に「PATHへの追加」にチェックを入れてください。
Q: WSLは必須ですか? A: 必須ではありませんが、Windowsユーザーには強く推奨します。開発環境がより快適になります。