Google DriveからInstagramリール投稿

このモジュールで学ぶこと

• Cloudinaryを使った動画ホスティングの設定方法
• Google Driveから動画を検索してCloudinaryにアップロードする方法
• Instagram Graph APIでリール動画を投稿する方法
• 動画ファイルの存在確認とループ処理の実装方法

学習目標

このモジュールを終えると、以下のことができるようになります：

• Cloudinaryアカウントを作成し、Upload Presetを設定できる
• postsシートからDRAFT状態の投稿を取得し、対応する動画ファイルを検索できる
• Cloudinary経由でInstagramリールを自動投稿できる
• 投稿完了後にpostsシートのステータスを更新できる

目次

• セクション1: なぜCloudinaryが必要なのか
• セクション2: Cloudinaryアカウントの設定
• セクション3: ワークフローの全体像
• セクション4: ワークフローの構築
• セクション5: Cloudinaryアップロードの設定
• セクション6: Instagram投稿処理
• セクション7: postsシートの更新
• セクション8: 動作確認
• ワークフローJSONダウンロード
• トラブルシューティング
• まとめ
• 参考資料
• よくある質問

事前準備

必要なもの

• Module 09で作成した動画ファイルがGoogle Driveに保存されていること
• postsシートにDRAFT状態のデータがあること
• Instagram APIアクセストークン（Module 02で取得済み）

確認事項

Google Driveに以下のようなフォルダ構成があることを確認してください。

n8n-instagram/
├── 202512Instagram投稿A/
│   ├── POST-xxx.mp4
│   └── POST-yyy.mp4
├── 202512Instagram投稿B/
│   └── ...
└── ...

重要: 動画ファイル名はPOST-で始まり、postsシートのpost_idと一致している必要があります。

セクション1: なぜCloudinaryが必要なのか

Google DriveのURLは直接使えない

2025年1月以降、Instagram Graph APIではGoogle DriveのURLを直接使用できなくなりました。

エラー例:

Error in loading https://drive.google.com/uc?export=download&id=xxx
500 Internal Server Error

原因:

• Google DriveのURLはリダイレクトを含む
• 認証トークンが必要
• HTMLラッパーを含む場合がある

解決策: Cloudinaryを経由してアップロード

Cloudinaryとは

Cloudinaryは画像・動画のホスティングサービスです。無料プランでも以下が利用可能です：

• 月25クレジット
• 1GBストレージ = 1クレジット
• 1GB帯域幅 = 1クレジット

Instagram投稿用には十分な容量です。

チェックポイント

• Google DriveのURLが直接使えない理由を理解した
• Cloudinaryの役割を理解した

セクション2: Cloudinaryアカウントの設定

Step 1: Cloudinaryアカウント作成

1. Cloudinaryにアクセス
2. 「Sign Up For Free」をクリック
3. 必要情報を入力してアカウント作成

Step 2: ダッシュボードの確認

ログインするとダッシュボードが表示されます。

以下の情報を確認してください：

• Cloud Name: あなたのCloud Name（APIのURLで使用）
• 使用量の表示（Media files, Bandwidth, Transformations, AI Usage）

Step 3: Upload Presetの作成

Upload Presetを使うと、API KeyなしでHTTP POSTでアップロードできます。

1. 左メニューから「Settings」をクリック
2. 「Upload」タブを選択
3. 「Upload presets」セクションを確認

4. 「Add upload preset」をクリック
5. 以下の設定を入力：

重要: Signing Modeは必ず「Unsigned」を選択してください。これにより、API Keyなしでアップロードできるようになります。

6. 「Save」をクリック

Step 4: 設定の確認

Upload Preset一覧に作成したプリセットが表示されます。

• instagram_reelがリストに表示されている
• Signing Modeが「Unsigned」になっている

チェックポイント

• Cloudinaryアカウントを作成できた
• Cloud Nameを確認できた
• Upload Preset「instagram_reel」を作成できた
• Signing Modeが「Unsigned」になっている

セクション3: ワークフローの全体像

ワークフロー構成図

[Manual Trigger]
    ↓
[Get DRAFT Posts] ← postsシートからDRAFT全件取得
    ↓
[Loop] ← 1件ずつ処理
    ↓
[Get Category from Pattern] ← content_jsonからカテゴリ判定
    ↓
[Search Category Folder] ← Driveでカテゴリフォルダを検索
    ↓
[Search Video File] ← フォルダ内でpost_idの動画を検索
    ↓
[IF File Exists] ← 動画があるか確認
    ├── Yes → [Upload to Cloudinary] → [Instagram投稿処理] → 終了
    └── No → [Loop]へ戻る（次のDRAFTを試す）

ポイント

1. ループ処理: postsシートに複数のDRAFTがある場合、動画ファイルがあるものを見つけるまで順番に試します
2. alwaysOutputData: フォルダやファイルが見つからない場合でもワークフローが停止しないよう設定します
3. 1件だけ投稿: 動画が見つかったら1件だけ投稿して終了します

セクション4: ワークフローの構築

Step 1: 新しいワークフローを作成

1. n8nダッシュボードで「Create new workflow」をクリック
2. ワークフロー名を「Instagram Reel Post」に変更

Step 2: Manual Triggerを追加

1. 「+」ボタンをクリック
2. 「Manual Trigger」を選択

Step 3: Get DRAFT Postsノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「Google Sheets」を検索
2. 以下の設定を行う：

Step 4: Loopノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「Split In Batches」を検索
2. 以下の設定を行う：

Step 5: Get Category from Patternノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「Code」を検索
2. 以下のコードを入力：

const item = $input.first();
const contentJson = JSON.parse(item.json.content_json || '{}');
const pattern = contentJson.pattern || '';

// patternからカテゴリを判定
const patternToCategory = {
  'versus': 'A',
  'instant_hack': 'B',
  'secret_feature': 'C',
  'warning': 'D',
  'ranking': 'E'
};

const category = patternToCategory[pattern] || 'A';

// フォルダ名を生成（例: 202512Instagram投稿A）
const now = new Date();
const yearMonth = now.getFullYear().toString() + String(now.getMonth() + 1).padStart(2, '0');
const folderName = `${yearMonth}Instagram投稿${category}`;

return [{
  json: {
    ...item.json,
    category: category,
    folder_name: folderName,
    pattern: pattern
  }
}];

このコードは：

• postsシートのcontent_jsonからpatternを取得
• patternに応じてカテゴリ（A〜E）を判定
• 年月とカテゴリからフォルダ名を生成（例: 202512Instagram投稿A）

Step 6: Search Category Folderノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「Google Drive」を検索
2. 以下の設定を行う：

3. 重要: ノード設定で「Always Output Data」をONにする
   • 右上の「︙」メニューから「Settings」を開く
   • 「Always Output Data」のトグルをON

Step 7: Search Video Fileノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「Google Drive」を検索
2. 以下の設定を行う：

3. 重要: 「Always Output Data」をONにする

Step 8: IF File Existsノードを追加

1. 「+」ボタンをクリックして「IF」を検索
2. 以下の条件を設定：

接続:

• True（ファイルあり） → Upload to Cloudinary へ
• False（ファイルなし） → Loop へ戻る

チェックポイント

• Get DRAFT Postsでpostsシートからデータを取得できた
• Loopノードで1件ずつ処理できた
• Get Category from Patternでカテゴリを判定できた
• Search Category FolderでDriveのフォルダを検索できた
• Search Video Fileで動画ファイルを検索できた
• IF File Existsで分岐できた

セクション5: Cloudinaryアップロードの設定

Step 1: Upload to Cloudinaryノードを追加

1. IF File Existsの「True」出力から「+」をクリック
2. 「HTTP Request」を検索して追加
3. 以下の設定を行う：

YOUR_CLOUD_NAMEはCloudinaryダッシュボードで確認したCloud Nameに置き換えてください。

4. Body Parametersに以下を追加：

Step 2: 動作確認

ノードをテスト実行すると、Cloudinaryにアップロードされ、以下のような結果が返ります：

{
  "secure_url": "https://res.cloudinary.com/xxx/video/upload/v1234567890/xxx.mp4",
  "public_id": "xxx",
  "format": "mp4",
  ...
}

secure_urlがInstagram APIに渡すURLになります。

チェックポイント

• HTTP RequestノードでCloudinaryのURLを設定できた
• Body Parametersにfileとupload_presetを追加できた
• テスト実行でsecure_urlが取得できた

セクション6: Instagram投稿処理

Step 1: Get User IDノードを追加

1. Upload to Cloudinaryの出力から「+」をクリック
2. 「HTTP Request」を追加
3. 以下の設定：

4. Query Parametersに以下を追加：

Step 2: Create Reel Containerノードを追加

1. 「HTTP Request」を追加
2. 以下の設定：

3. Query Parametersに以下を追加：

Step 3: Wait 15sノードを追加

動画のアップロード処理には時間がかかるため、待機時間を設けます。

1. 「Wait」ノードを検索して追加
2. Amount: 15（秒）

Step 4: Check Container Statusノードを追加

1. 「HTTP Request」を追加
2. 以下の設定：

3. Query Parametersに以下を追加：

ステータスがFINISHEDになれば投稿可能です。

Step 5: Publish Reelノードを追加

1. 「HTTP Request」を追加
2. 以下の設定：

3. Query Parametersに以下を追加：

チェックポイント

• Get User IDでuser_idを取得できた
• Create Reel Containerでcontainer_idを取得できた
• Wait 15sで待機時間を設けた
• Check Container StatusでFINISHEDを確認できた
• Publish Reelで投稿IDを取得できた

セクション7: postsシートの更新

Step 1: Edit Fieldsノードを追加

1. 「Edit Fields」を検索して追加
2. 以下のフィールドを設定：

Step 2: Update Posts Sheetノードを追加

1. 「Google Sheets」を追加
2. 以下の設定：

3. Values to Sendで以下を設定：
   • post_id: {{ $json.post_id }}
   • status: {{ $json.status }}
   • ig_post_id: {{ $json.ig_post_id }}
   • published_at: {{ $json.published_at }}

チェックポイント

• Edit Fieldsで更新データを整形できた
• Update Posts Sheetでpostsシートを更新できた
• statusがPUBLISHEDに変更された
• ig_post_idとpublished_atが記録された

セクション8: 動作確認

Step 1: テストデータの準備

1. postsシートにDRAFT状態のレコードがあることを確認
2. Google Driveに対応する動画ファイルがあることを確認
   • ファイル名がPOST-xxx形式
   • 対応するカテゴリフォルダに保存されている

Step 2: ワークフロー全体図の確認

完成したワークフローは以下のようになります。

Step 3: 実行テスト

1. 「Execute Workflow」をクリック
2. 各ノードが順番に実行されることを確認
3. 最終的にInstagramに投稿されることを確認
4. postsシートのstatusがPUBLISHEDに更新されることを確認

チェックポイント

• ワークフローがエラーなく完了した
• Instagramにリールが投稿された
• postsシートのstatusがPUBLISHEDになった

ワークフローJSONダウンロード

以下のJSONファイルをダウンロードしてn8nにインポートできます。

reel-post-workflow.json

インポート後に変更が必要な箇所:

また、Google SheetsとGoogle Driveのクレデンシャルを設定してください。

トラブルシューティング

「Error in loading https://drive.google.com/...」エラー

症状: Create Reel Containerで500 Internal Server Errorが発生

原因: Google DriveのURLをInstagram APIに直接渡している

解決方法: Cloudinary経由でアップロードしてください（本モジュールの方法）

「RangeError: Invalid string length」エラー

症状: n8nで大きな動画をダウンロードしようとするとエラー

原因: n8nのメモリ制限

解決方法: Google DriveのURLをCloudinaryに直接渡して、Cloudinaryにダウンロードさせてください（本モジュールの方法）

ループが途中で止まる

症状: 数件処理した後、ワークフローが「成功」で終了する

原因: Search Category FolderまたはSearch Video Fileの「Always Output Data」がOFFになっている

解決方法:

1. 両方のノードの設定を開く
2. 「Settings」で「Always Output Data」をONにする

Container StatusがFINISHEDにならない

症状: Check Container StatusでIN_PROGRESSのまま

原因: 動画のアップロード処理に時間がかかっている

解決方法:

1. Wait時間を増やす（15秒→30秒）
2. またはリトライループを追加する

アクセストークンが無効

症状: 「Invalid OAuth access token」エラー

原因: アクセストークンの有効期限切れ

解決方法: Module 02の手順でアクセストークンを再取得してください

まとめ

このモジュールで学んだこと

• Cloudinaryを使った動画ホスティングの設定方法
• Google DriveのURLをInstagram APIで直接使えない理由と解決策
• postsシートからDRAFTを取得し、対応する動画を検索する方法
• ループ処理と「Always Output Data」オプションの使い方
• Instagram Graph APIでリール動画を投稿する手順
• 投稿完了後のシート更新処理

次のステップ

これでn8n講座は完了です！

構築したシステムの全体像：

1. Module 01-04: 環境構築とAPI設定
2. Module 05-06: シートからInstagram投稿
3. Module 07-08: AIでコンテンツ自動生成
4. Module 09: Canvaで動画素材を一括生成
5. Module 10: 動画をInstagramリールとして投稿

これにより、AIによる企画生成から動画素材化、Instagram投稿まで、大部分の作業を自動化できるようになりました。

参考資料

• Instagram Graph API - Reels Publishing
• Cloudinary Upload API
• n8n Community - Google Drive links are no longer accepted

よくある質問

Q: Cloudinary無料プランで足りますか？ A: 月に数十件程度の投稿であれば十分です。動画1本あたり約10-50MBで、月25クレジット（約25GB相当）利用可能です。

Q: Container StatusのチェックにIFノードを追加すべきですか？ A: 動画が短い（15秒以下）場合は15秒の待機で通常は十分です。長い動画の場合はリトライループの追加を推奨します。

Q: 複数投稿を一度に実行できますか？ A: 現在のワークフローは1件ずつ投稿する設計です。Instagram APIのレート制限もあるため、複数投稿する場合は間隔を空けて実行してください。

Q: 投稿がいつまでもFINISHEDにならない場合は？ A: 動画のフォーマットや解像度に問題がある可能性があります。Instagram推奨の形式（MP4、H.264、1080x1920、9:16）を確認してください。